『ヴィンセントが教えてくれたこと』評価感想*絆に血の繋がりや年の差は関係ない
※後半にネタバレあり(注釈後)※
映画感想語り、今回は『ヴィンセントが教えてくれたこと』(2014年)です。
監督はセオドア・メルフィ。
とても心温まるヒューマンドラマです。
自堕落な不良爺さんが、いじめられっ子で利発な少年と出会い、お互い変わっていきます。
*あらすじ*
1日をバーやベルモントパーク競馬場へ通って過ごすという自堕落な生活を送っている老人のヴィンセント・マッケンナ(ビル・マーレイ)は、愛猫フィリックスと共に住む自宅を担保に銀行から借金をして暮らしていた。
だが酒とギャンブル漬けの毎日を続けていたため融資も限度額を超えてしまい、マイナス分を返済しないと口座凍結もできないと言われてしまう。
たまに売春を頼む妊婦のロシア人ストリッパー、ダカ・パリモヴァ(ナオミ・ワッツ)へ支払う代金や、賭け金として高利貸しのズッコから借りた金も出せずにいた。
そんな彼の自宅の隣に、シングルマザーのマギー・ブロンスタインとその息子オリヴァーが引っ越してくる。
その時引っ越し業者が起こした事故を発端にヴィンセントが口汚くマギーを罵り、第一印象は最悪だった。
翌日、転校先の聖パトリック小学校に登校したオリヴァーは、いじめっ子の大柄なロバート・オシンスキーに早速目をつけられる。
体力がないオリヴァーが体育の時間を終えると、彼の財布や家の鍵、スマホなどの荷物がオシンスキーらに盗られていた。
仕方なくそのまま下校したオリヴァーが家に入れずに困っていたとき、ヴィンセントが帰宅してくる。
オリヴァーは彼に話しかけ、電話を貸してもらえないかと頼む。
嫌々ながら電話を貸したヴィンセントは、医療技術者として多忙なマギーから「帰るまでオリヴァーを預かって欲しい」と頼まれ、手間賃として1時間12ドルを要求し受け入れる。
ヴィンセントの家で母の帰りを待ち、夜遅く帰ってきたマギーが彼の自宅を訪ねる。
手間賃を受け取り、シッターがいないことを彼女から聞いたヴィンセントは、食事抜きなら11ドルで面倒を見ると申し出る。
ヴィンセントを気に入った様子のオリヴァーを見て、マギーは学校のお迎えから仕事終わりまで、ヴィンセントに面倒を見てもらうことにするのだったーー
*評価(最高★5)
全体 ★★★★★
ヴィンセントは決して褒められた生き方はしていません。
口が悪く、短気で、酒癖も悪く、ギャンブル依存症という、自分勝手などうしようもない爺さんです。
しかしオリヴァーは彼の魅力に気づいていました。
彼は小さな理解者に救われました。
感動 ★★★★★+
じんわりホロリと泣けます。
孤独な老人が1人の少年との出会いで変わっていく。
少年も、老人のおかげで強く逞しくなっていく。
自暴自棄になるヴィンセントにオリヴァーが贈ったものとは…そのラストは涙なしでは語れません。
ちょいワル度 ★★★★☆
ヴィンセントはとにかく口が悪いですが、子供相手でも容赦しません。
すぐに皮肉を言い、大人の遊びにも連れ回します。
オリヴァーはいい子だったので悪には染まりませんでしたが、そうじゃなかったら将来が心配です(笑)
オススメ度 ★★★★★
生き方が間違っていたと認めたヴィンセントに「そんなことない」と言うオリヴァー。
オリヴァーはそれを証明するためにあることをするのですが、ひたむきにヴィンセントを信じ慕うオリヴァーに感動します。
ワルだけど決して悪人ではない、面倒見のいいヴィンセントにオリヴァーが何を学んだのか。
ぜひラストを観てください。超オススメです(ノ´∀`)ノ
※ここからネタバレ感想↓※
ネタバレ書き中……_φ(・_・
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※ここからは内容を知っている前提です。
またしても涙活できる作品に出会えました(ノw`*)
『最強のふたり』のような、ひたすら暖かいヒューマンドラマです。
個人的には『最強のふたり』の方がよりオススメです。
アクションとかサスペンス、ホラーも好きですが、やっぱり私はこういうジャンルが1番好きかもしれません。
自堕落に生きる老人ヴィンセントの隣に引っ越してきたシングルマザーの親子、母マギーと12歳の息子オリヴァー。
全ての始まりはここからです。
初日からご近所トラブルを起こし、第一印象は最悪だった両家。
翌日、オリヴァーは転校初日からいじめッ子に目をつけられてしまいます。
こんなに可愛い子をいじめるなんて!!
オリヴァーはとてもしっかりしている、いわゆる優等生タイプです。
見た目はひ弱ですが、冷静に周りを見ることができら先生にも物怖じせずハッキリと物事を言う利発な子でした。
そういう子って目をつけられやすいですよね(´-ω-`)
体育の時間が終わり着替えに戻ると、制服、財布、スマホ、家の鍵が全部取られていました。
仕方なくランニング姿のまま帰路につくオリヴァー。
家に入れず、母とも連絡が取れずに困っていたところにヴィンセントが帰ってきます。
オリヴァーは事情を説明して電話を借ります。
母は急な残業でまだ帰れないということで、それまでヴィンセントの家で預かることになりました。
お世辞にも綺麗とは言えないヴィンセントの部屋でも、平然としている肝の座っているオリヴァー。
ペルシャ猫のフィリックスが可愛いですね♪
迎えに来たマギーが「シッターがいないから助かった」と伝えると、ヴィンセントは1日11ドルで面倒を見ると契約を交わします。
こうして忙しい母親に代わり、ひょんな事からオリヴァーのシッターをすることになったヴィンセント。
しかしヴィンセントはシッター料が目当てであり、真面目にオリヴァーの面倒を見ようとはしませんでした。
しかし好奇心旺盛なオリヴァーは、自分とは全然違うヴィンセントに興味を持っていました。
学校まで迎えにきたヴィンセントは、母に電話すると公衆電話に向かうオリヴァーを見送ります。
そこでオリヴァーはロバートらいじめッ子達に包囲されて殴られます。
そこにヴィンセントが駆けつけ、ロバートらを一喝して追い払うのでした。
イジメに反撃できるようにと、オリヴァーに格闘術を教えるヴィンセント。
アゴを狙う掌底という、ガチガチの喧嘩殺法です(゚o゚;;
その甲斐あって、オリヴァーはロバートに反撃の1発を食らわせることができ、一目置かれるようになります。
そして似た境遇だと知ったロバートとオリヴァーは、親友になっていくのでした。
ヴィンセントは社会勉強と言いつつ、給料11ドルでオリヴァーに色々身の回りのことをさせるようになります。
ヴィンセントには重度の認知症になって療養施設で暮らす妻サンディがおり、妻との面会の際は医師として接します。
自分のことを覚えてないからです。
サンディと接する時のヴィンセントは、別人のように優しい表情をしていました。
そんな現場にもオリヴァーを連れて行き、サンディの洗濯物を受け取る役をさせたりもするのでした。
自宅で草刈りをするオリヴァーを心配する母でしたが、当の本人はとても楽しそうです。
不安を残しつつ、マギーは引き続きヴィンセントに任せるのでした。
打ち解けてきたオリヴァーに、ヴィンセントは色んな遊びを教えます。
2人でチョイ悪な格好をして車を乗り回したり。
競馬場に連れて行って賭けの仕組みを教え、好きな馬にかけさせると、ビギナーズラックか大当たりします。
海外って賭博場に未成年が入ってもいいんでしょうか…
日本でも賭けなければいいのかな?
賭博系はやったことがないので、そこら辺は分かりませんが、確実に教育によろしくはないですよね(笑)
オリヴァーのおかげで大儲けしたヴィンセントは、大喜びで換金しにいきます。
7割はオリヴァーのお小遣いからなので、自分の孫だと偽りオリヴァーの口座を作って預け入れました。
そして残り3割のお金は調子に乗って盛大に使ってしまいます。
その後、行きつけのバーにオリヴァーを連れて行き「自分を主張するならもっと大きな声で」と注文をさせたり。
色んな刺激的な遊びを経験したオリヴァーは、徐々に子供らしい活発さを取り戻していきます。
それと同時に、嫌われ者のヴィンセントを尊敬するようになっていきました。
そんなある日、ヴィンセントはサンディが入っている施設の料金滞納が重なり、もっと安価な施設への変更を提案されます。
妻を移動させたくなかったヴィンセントは、罪悪感を感じつつオリヴァーの口座のお金を全額引き出してしまいます。
さらにギャンブルで重ねた借金を自宅まで取り立てられ、その最中ヴィンセントは脳卒中で倒れてしまいます。
オリヴァーが発見して、すぐに病院へ搬送されました。
手術は成功したものの、身体には麻痺が残り、うまく喋れない状態でした。
オリヴァー、マギー、そしてダカはお見舞いに来ますが、リハビリでの不自由に苛立つヴィンセントを見て静かに去ります。
ダカは妊婦とは思えない振る舞いでマギーを唖然とさせますが、ダカは全く気にせず好き勝手振る舞うのでした。
それから何度かダカやマギー達がお見舞いに行き、リハビリの甲斐あって徐々に回復し退院することができました。
まだ少し麻痺が残るも、歩けるようにもなりました。
ダカは勝手に世話役として住み込むことにし、給料まで決めてしまいます。
皮肉を言うヴィンセントでしたが、内心は感謝しているようでした。
一方、父親との親権争いで出廷していたマギー。
マギーは不倫して自分を捨てた夫にオリヴァーを渡すまいと裁判で争っていましたが、マギーが素行のよくないヴィンセントをシッターにしていることから、父親にも親権があると判断されてしまいます。
マギーは出廷時に初めて、ヴィンセントがオリヴァーを連れて競馬場やバーに連れて行っていたことを知りました。
怒り心頭のマギーは、ヴィンセントを激しく罵ります。
ヴィンセントは「全部子供を見てなかった自分が招いた結果だ」憎まれ口を返し、シッターの話も決裂しました。
そんなヴィンセントに、何度も留守電が届いていたことを伝えるダカ。
それは妻サンディが入院している施設からでした。
危篤状態の際ヴィンセントは入院しており、その間にサンディは亡くなっていました。
ヴィンセントは施設から遺灰を受け取ります。
最愛の妻を失って自暴自棄になるヴィンセント。
そんなヴィンセントの前に、新しいシッターに連れられたオリヴァーがやってきます。
「俺みたいな人間にはなるな。しっかり生きろ」と自虐気味に呟くヴィンセント。
そんな彼に「ヴィンセントは確かにだらしない人間だけど、それだけじゃない。自分が証明する」と伝えるオリヴァー。
夜中に自分の思い出の品を捨てるヴィンセントを見たオリヴァーは、こっそりそれを持ち出します。
ちょうどその頃、聖パトリック学校では「自分の近くにいる聖人」というテーマの発表会が迫っていました。
オリヴァーは親友のロバートにも協力してもらって、色んな人からヴィンセントの話をインタビューします。
時には戦時中の彼を知る人に。
時にはサンディの入っていた施設の顔なじみアナに。
時には行きつけのバーの常連客に。
そして、なんだかんだ1番近くにいるダカに。
皆のインタビューを纏めたオリヴァーは、発表会当日を迎えます。
いつもは自炊をしない母が、オリヴァーの晴れ舞台に朝食を作ってくれていました。
喜ぶオリヴァーは母に「愛してる」と伝えます。
母も力強くそう返すのでした。
発表会が始まりました。
母マギーや、アナも見守っています。
1人目の発表が始まりました。
その頃、ダカが産気づいたと言い寝ているヴィンセントを無理矢理連れ出します。
着いた場所が病院じゃないと気づくも、有無を言わさずヴィンセントを連れて行くダカ。
そこではオリヴァーの発表が始まっていました。
壇上のオリヴァーは言います。
「聖人とは清く正しい人のことを言いがちだけど、そんな人ばかりじゃない。なぜならその人達も皆人間だから」
「ヴィンセント・マッケンナは軍人だった頃、2人を戦地から救い出した英雄と言われていた。でも今は人を嫌い、人に嫌われ、借金だらけの呑んだくれな生活をしている」
「でもヴィンセントは、僕の面倒を見てくれた。愛する妻サンディの洗濯物を8年間洗い続けた。聖人は諦めない。自分の食事より愛猫にいいフードを買っている。自己犠牲も聖人だから。」
「ヴィンセントは僕に色んなことを教えてくれた優しい人だ。勇気、犠牲、慈悲、人間性こそ聖人の証です。だから僕はヴィンセント・マッケンナを聖人だと思う」
発表を終えると、オリヴァーはヴィンセントを壇上に呼んで勲章をかけます。
ヴィンセントは恥ずかしいような誇らしいような顔をして微笑むのでした。
こうしてお互い影響し合った、年の離れた友人ができたヴィンセント。
その後ダカの子供も無事に産まれ、ヴィンセント、ダカ、ダカの赤ちゃん、そしてマギーとオリヴァーの親子で夕食を囲みます。
ヴィンセントはもう1人ではなくなりました。
彼の今後が幸せであることを祈りますーー。
最後のエンドロールでは、ノリノリなヴィンセントが歌いながら庭に水を巻いています。
足に水をかけるのは、借金やギャンブルから足を洗うという意味なのかな(笑)
ここまで読んでくださりありがとうございました(*´ω`*)ゞ
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※内容は予告なく変更されたりします。
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