『羊たちの沈黙』評価感想*伝説のサイコキラー誕生作
※後半にネタバレあり(注釈後)※
映画感想語り、今回は『羊たちの沈黙』(1991年)です。
R15ホラー。監督はジョナサン・デミ。
トマス・ハリス著の同名小説が原作。
続編である『ハンニバル』で一躍有名になったレクター博士の原点作品です。
古さを感じない不朽のサイコホラーです。
*あらすじ*
カンザスシティほかアメリカ各地で、若い女性が殺害され皮膚を剥がれるという連続猟奇殺人事件が発生。
逃走中の犯人は、その異常な犯行から「バッファロー・ビル」と呼ばれていた。
FBIアカデミーの実習生クラリス・スターリング(ジョディ・フォスター)は、バージニアでの訓練中にクロフォード主任捜査官からある任務を課される。
クロフォードは、バッファロー・ビル事件解明のために監禁中の凶悪殺人犯の心理分析を行っていた。
他の囚人達は協力的だったが、元精神科医の囚人ハンニバル・レクター(アンソニー・ホプキンス)だけがFBIへの協力を拒絶していた。
クラリスはクロフォードに代わって事件に関する助言を求めるため、レクターの収監されているボルティモア州立精神病院に向かう。
当初は協力を拒んでいたレクターだが、クラリスに彼女自身の過去を語らせることと引き換えに、事件解決へ協力することを約束するーー
*評価(最高★5)
全体 ★★★★☆
古めな作品ですが、今観ても遜色なく面白いです。
CGなどが必要な作品でもないので、映像の古さもそれほど感じません。
レクター博士とクラリスの駆け引きと、徐々に分かっていく犯人像に惹き込まれます。
それぞれの思惑や行動が交錯する展開は見事でした。
怖さ ★★★★☆
とにかくレクター博士の、何でもお見通しな淡々とした狂気が怖いです。
少しでも油断を見せれば何をされるか分からない天才猟奇殺人犯。
なのに上品でとても紳士的というのが、クラリスや観る側心理を上手くブレさせます。
取り込まれてしまいそうな精神的な恐怖を感じます。
バッファロー・ビルの異常性もだいぶ恐ろしいですが、何より蛾が怖すぎる…(虫恐怖症)
グロさ ★★★★☆
昔の作品ですが、死体は作り物感がなくかなりリアルです。
結構はっきりと見えるので、グロが苦手な人は観ない方がいいかもしれません。
バッファロー・ビルの性癖も気持ち悪いですし、何より蛾が(大事なことなので2回ry
グロさ以上に、虫が苦手な人は要注意です…!
オススメ度 ★★★★☆
さすがに古さを感じるかなぁと思いながら見始めましたが、全然気にならず楽しめました。
特殊メイク系はどうしても見劣りしていきますが、頭脳戦メインのホラー映画は色褪せませんね!
かの有名なレクター博士のご尊顔をしっかり拝むことができて光栄です…(震え
※ここからネタバレ感想↓※
ネタバレ書き中……_φ(・_・
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※ここからは内容を知っている前提です。
今や超有名なサイコパス、ハンニバル・レクター博士は、本当にいたら引き込まれてもおかしくないような迫力と不思議な魅力があります。
サイコパスとはそういうものだと聞きますが、それがこんな天才シリアルキラーだと非常に恐ろしいですね…:;(∩´﹏`∩);:
この目にじっと見られると、吸い込まれそう。
そうやって何人も洗脳に近い形で殺している頭脳犯です。
そしてレクター博士の最大の異常性といえば「カニバリズム」いわゆる人肉嗜好ですね。
それを扱ったホラーは多々ありますが、レクター博士はだいぶ人(食材)を選ぶグルメなようです。
自分が嫌いな、礼節のない人間を殺害して食べるのが好きなようです。
ちょっと意味がわからない…怖い。
逆に自分の好みの女性も食べたくなるみたいですね(そのままの意味で)
平気で噛み付いて食い千切ったりするので恐ろしいです。
お爺ちゃんの割にガッチリしてますし『ヴィジット』のキチガイ爺さんとは格が違いますね!!
『ヴィジット』評価感想*「ババアが夜中に走り出す」 - みこブロ
…いやアレと比べたら怒られる…(;´Д`)
そんなレクター博士ですが、クラリスは特別お気に入りのようです。
隣に収容されている異常な囚人にクラリスが最低な行為をされ、怯えてもう来なくなる可能性を察するや否や彼女をフォローし、また来るよう仕向けます。
その囚人は彼女が帰った後、レクター博士に一日中罵倒され続けて自殺しました。
自分の舌を噛み切り飲み込むという異常な方法で。
洞察力が尋常じゃなく人間心理を操るのが何より得意な博士にとって、精神崩壊から自殺に追い込むなんて朝飯前なんですね。
博士は捜査協力する代わりにクラリスの過去を聞きたがるのですが、彼女は過去に子羊を救えなかったというトラウマを持っていました。
博士は彼女の抱えるトラウマに気づき、特別興味を示していました。
そこからくる彼女の強すぎる正義感に。
これからじっくり料理するつもりなのでしょう。
ここら辺の詳しくは『ハンニバル』で描かれますので、そちらでまた詳しく…。
最初はクラリスの過去に事件解決のキーがあるのかと思ってました。
彼女の叔父が犯人だったとか、実は記憶違いがあったとか。
でも全然関係なかったですね(*'-'*)
ただただレクター博士が聞きたいだけだったようです。
約束通り、彼女が過去を話すたびに事件解決へのヒントを出すレクター博士。
ただし謎掛けのような感じで、すんなり教えてはくれません。
それがまたサスペンス要素を濃くしています。
聡明なクラリスは、その謎掛けを考え理解し、犯人に近づいていきます。
しかしそれを妬んだのが、レクター博士が収容されている精神病院のドクター・チルトン。
彼はレクター博士に毛嫌いされており、何を聞いても一切口を開きません。
チルトンはプライドが高く、FBI訓練生の小娘に自分の患者であるレクターが色々話すのを不快に思っていました。
バッファロー・ビルの次のターゲットは政治家の娘キャサリンでした。
バッファロー・ビルは女性を攫ってから3日間は何もせず生かすという情報を知ったキャサリンの母親ルースは、犯人に向けて「どうか娘を返してほしい」と訴えます。
キャサリンが殺される前に犯人を見つけらるよう協力すれば、恩賞としてここよりいい施設に移送できるとクラリスは博士に伝えます。
クラリスは焦っていました。
救えなかったトラウマを克服したいという無意識が急かすのでしょう。
必死で時間がないと訴えますが、博士はあくまでクラリスの過去話と交換だと話させます。
渋々話したクラリスは、また謎掛けのようなヒントをもらい去っていきます。
それに業を煮やしたチルトンは「クラリスが博士に話した施設移動の話は嘘だ」と伝え、腹いせに田舎の収容所へ移送します。
実際クラリスの話は彼女が協力を仰ぐ為に作ったでまかせであり、博士はそれも見抜いていました。
移送の際にキャサリンの母ルースが面会しに来ますが、犯人の名前を教えろという彼女を博士は小バカにした態度であしらいます。
怒った彼女は帰ろうとしますが、その間際に博士は犯人の名前を教えます。
付き添っていたチルトンは、自分の手柄だと大喜びです。
テレビ取材を受けたりと、完全に調子に乗りまくっています。
あくまで博士から話を聞き出す役だったクラリスは、犯人が確定したことで捜査から外されます。
しかしその名前に引っかかるものを感じたクラリスは、FBIの証明書を利用して博士に会いにいきます。
捜査から外されたことも見抜いていた博士は「個人的な訪問なんて恋人関係かと思われるぞ」と茶化します。
そんな彼を鋭く見つめ、クラリスは本当のことを教えてと問い詰めます。
彼女は博士が伝えた名前がただの言葉遊びだと気付いていました。
本当に時間がないと怒るクラリスに、また過去の話を聞きたがるレクター。
彼女は苛立ちながら話します。
父を亡くして引き取られた叔父の牧場で見たもの。
皮を剥がれて悲鳴をあげる子羊たちを。
それはただの牧場主としての仕事でした。
食肉用の動物を屠殺するのと同じです。
ですが、幼いクラリスにはショッキングな光景でした。
彼女は子羊を1匹だけ抱いて逃げ出します。
しかし子羊は幼い少女には重く、クラリスはすぐに警察に保護され、子羊は殺されます。
それから頭の中で子羊の悲鳴が止まない…それが彼女のトラウマであり、強い正義感の元でした。
満足したレクター博士は約束に応え助言をし、バッファロー・ビルの資料を返します。
その助言と資料に書かれたヒントを元に、クラリスは犯人の原点である最初の被害者の家へ向かいます。
そこで聞き込みや現場検証をするうちに、ついに犯人が「被害者と関わりのある縫製職人」だという糸口を掴むのでした。
余談ですが、『キャビン』に出てくるバレリーナのオルゴールって、被害者の部屋にあったのが出展なんですかね(*'д'*)
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クラリスからの報告で真犯人に当たりをつけたクロフォード主任達FBIチームは、犯人確保に向かいます。
ここからが上手いクロスオーバーでしたね。
ミスリードの犯人と、クラリスが向かっている真犯人の居場所は同じ州だったので、クラリスはてっきりFBIが自分の所へ駆けつけてくれるものだと思います。
ですがレクター博士の謎掛けの真意を見抜いて地道に調査し、真犯人の居場所に辿り着いたのはクラリスだけでした。
クラリスはバッファロー・ビル相手に孤軍奮闘することになります。
バッファロー・ビルは蛾の繁殖をしており、地下室には蛾が飛び交っています。
ぜっっっったいに入りたくない…!!!!
虫全般かなり苦手ですが、特に蛾は超絶苦手なんです私…
バタバタ飛ぶのが怖すぎる_:(´ཀ`」 ∠):ゾワァ
グロ死体も、今だったらカットされるであろうアキラ100%も顔負けなギリギリヘアヌードも平気です。
虫ボードゲームもまぁ…飛んでないのでまだ大丈夫です。
でも蛾は直視できませんでした…!(ノД`)
一方レクター博士は、夕食支給の隙をついて警官達を殺害し脱走します。
あれだけ危険だと言われた存在をただの格子の中に入れておくなんて危なすぎると、視聴者は誰もが思っていたでしょう(;-ω-)ゞ
完全に警察の油断が招いた結果ですね。
とはいえ、本当に何でも出来すぎて怖いですレクター博士。
まさか顔の皮を被って死人に成りすますとは。
しかも死体を悪趣味な磔にする余裕すらあるほどです。
無益な殺しはしない主義の博士ですが、邪魔者は善だろうが悪だろうが容赦なしです。
超人的な頭脳で立ち回り、誰も彼を追うことがでないまま静かに姿を消しました。
クラリスは見事バッファロー・ビルとの一騎打ちに勝ち、正式にFBI捜査官として承認されます。
承認式のパーティーで友人や主任と談笑するクラリスに、一本の電話がはいります。
何か予感を感じながら電話に出るクラリス。
相手はレクター博士でした。
クラリスの昇進を祝いつつ「子羊の悲鳴は消えたかね?」と問うレクター博士。
そして自分のことは放っておいてほしいという彼に、クラリスは「それは約束できない」と返すのでした。
クラリスの正義感が全く衰えていないことに満足したレクター博士は「旧友をディナーに誘わなければ」と言って電話を切ります。
そして、旧友という敵チルトンをゆっくりと追いながら、レクター博士は雑踏に消えていくのでした。
クラリスとレクター博士の歪な絆のようなものが、不思議で奇妙な余韻を残す作品でした。
2人の関係は『ハンニバル』に続くので、ぜひ続けて観てみてください。
色んな意味でおぞましいです。
(レビュー投稿したらリンクを貼っておきます)
ここまで読んでくださりありがとうございました(*´ω`*)ゞ
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