『ショーシャンクの空に』評価感想*噂通りの名作でした
※後半にネタバレあり(注釈後)※
映画感想語り、記念すべき一作目は『ショーシャンクの空に』(1994年)です。
監督はフランク・ダラボン。
スティーブン・キング著『刑務所のリタ・ヘイワーズ』が原作。
※リタ・ヘイワーズとは作中の映画に出てくる女優さんです。
実際に登場はしませんが、大事な役割を担っています。
そもそもこの作品、女性はほぼ登場しないです。男の友情物語です。
最初に書く作品はこれにしようと決めてました。
それくらい私の中で大きな存在になりました。
刑務所の話だと聞いて、興味ないとスルーしてる場合じゃなかった!!ヾ(゚Д`;≡;´Д゚)ノ゙
名作名作と言われるにはやっぱり理由があるんですね。
心に深く染み入る名作です。
*あらすじ*
やり手の銀行員アンディ(ティム・ロビンス)は、ある夜妻の浮気現場の近くにいた。
やけ酒で泥酔、手には拳銃。
今にも乗り込まんとするが踏み止まり、犯行は未遂に終わった。
…はずだった。
しかしその夜妻と浮気相手は無残に殺され、現場にいたアンディに容疑がかかる。
凶器などの証拠もなく、充分な動機がありアリバイのないアンディは殺人犯として終身刑を言い渡され、ショーシャンク刑務所に更迭される。
そこは所長の圧政の元、暴力、賄賂、不正がはびこる劣悪な世界だった。
帰りたいと泣き叫ぶ者が制裁という名の暴行を受けたりする中、アンディは冷静に淡々と日々を過ごす。
暴力的なグループに目をつけられいびられても屈せず、常に何を考えてるか分からない澄まし顔。
そんな変わった新人を最初は面白半分に見守っていた先輩囚人レッド(モーガン・フリーマン)やその仲間達は、彼の不思議な魅力にだんだんと打ち解け始める。
囚人達だけでなく、やがて彼を取り巻く環境も徐々に変化を起こしていきーー
*評価(最高★5)
全体 ★★★★☆
レッドの穏やかな語りにのせる形で、ショーシャンク刑務所での20年にも渡るアンディの物語を追う構成。
綺麗にまとまった気持ちのいい後味が残る作品です。
個人的には吹き替えで観るのがオススメ。
レッドの優しい声が涙を誘います(*ノv`)b
ベタ褒めしておきながら☆4なのは、細かい部分を見ると突っ込みどころが色々あるから。
ですがそんなもの気にならなくなるくらいに、いい映画だったなぁ…としみじみ思える名作です。
感動 ★★★★★
希望を捨てないことの大切さ、友情、努力。
そんなメッセージが詰まっています。
なにより私はアンディの親友レッドの言葉にとても心を動かされました。
ラストのシーンは綺麗すぎてたまりません…!
アンディやレッドの仲間達も皆個性的で素敵でした。
外から見たら犯罪者という一括り(それはそうでしょうとも)だけど、彼らも人間なんですよね。
悲惨さ ★★★☆☆
荒れた刑務所の話にしてはゴア表現控えめですが、それでも痛ましい暴力シーンや死傷表現はあります。
加えて精神的にじわじわいたぶるノートン所長や看守の悪業っぷり…!(`Д´)
そしていつの時代も世間は厳しい。
それがあるからこそ、ラストが映えるんですけどね。
オススメ度 ★★★★★
刑務所の話という設定上、万人受けとまでは言えないかもしれないですが…
多少の暴力表現が大丈夫なら、内容に惹かれなくても強くオススメしたい一品です。
実際私もあらすじ見た限りでは「どうせ紆余曲折の脱獄ものでしょ」と興味ナシでしたが、色んなところで名作とオススメされていたのでとりあえず観てみました。
結果、観てよかったと心から思いました。
いい意味で思ってたのと違った!
刑務所の中での話だけど、刑務所の話じゃない。
アンディという人間を通して描かれる、人生を豊かにするための物語です。
もしこのレビューで興味を持ち観たなら、ぜひ感想聞かせてください(*´w`*)
※ここからネタバレ感想↓※
ネタバレ書き中……_φ(・_・
ーーーー
ここからは内容を知っている前提です↓
興味ナシから一転、人生の一本に入る好きな作品になった今作。
気持ちのいい終わり方や人間ドラマ、映画としての面白さももちろんよかったのですが、とりわけレッドの境遇と心情に特別感情移入したからです。
それは後に書くとして、まずは前述した突っ込みどころについて触れながら、自分なりの感想を書いていきます(* 'ω')ノ
・あんな証拠不十分で即有罪になる?
アンディの持っていた銃は川に捨てたと証言するも見つからず。
現場の弾痕との照合もできず嘘扱い。
自分に不利な証言なんかしないと必死に訴えるも、当時泥酔していたこと、そして充分な動機と状況証拠(実際現場にいて銃を持って乗り込もうとしていた)から有罪。
計画的で残酷な犯行とされ終身刑。
うーん、少なくとも今の日本だったら無理がありそう(゚-゚;)
当時はそれくらい冤罪が多発していたのかもしれませんし、そこは導入としてささっと見せたと解釈しました。
・トミーというキャラ、そして死は必要だった?
真っ当に生きることを知らなかったトミーは、アンディに出会って変わっていく。
高校卒業資格を取って真面目に生きようと必死で勉強し、心を開いたアンディとはまるで師弟関係のよう。
その過程で2人に生まれた絆や生きがい。
トミーの死(便利な駒を逃がさない為に所長が口封じしたのは全員分かっていたでしょう)という形でそれを奪われた絶望が、アンディの脱獄する意志を確固たるものにさせたのだと思います。
現にアンディは1度所長に真正面から訴えました。
自分の冤罪を晴らす証拠を見つけた!調査してください!と。
それを一蹴する所長。そしてあの結果。
脱獄の準備自体は最初からしていたのでしょうが、本気でするつもりなら直談判などしなかったでしょう。
それを変えたきっかけがトミーの死。
正攻法で対峙しても無駄、決死の覚悟で脱獄して所長を潰すしかないと。
それが自分のせいで殺されてしまったトミーに対する償いだと。
とはいえ、あまりに残酷な結末に「殺す必要あった!?」と思ったのも事実です。
合格したのに…トミー頑張ったね(´;ω;`)うっ
・持ち物検査ザルすぎない?
デスヨネー( ゚д゚)
所長の気まぐれ適当検査だとしても、机までひっくり返すのにポスターは剥がさないんかーい!!
最終的にこんな大穴空いてます。
しかも認めないとか言っておきながら結局オッケーなのね。
過去に脱獄犯がいなかったのか…まぁそこは置いておきます(笑)
にしてもアンディが聖書を暗記していたのも、聖書マニアな所長の機嫌をとりつつ、隠したピッケルを見られないようにしたのかと思うとアンディ頭切れすぎる!
・冤罪を晴らしてこそなのに、結局本当の犯罪者になってるよね。
脱獄して、隠蔽の為に作った架空の人物(ランドール・スティーブンス)になりすまし、不正に得た大金を全てせしめて国外逃亡。
冤罪で20年も刑務所に服役したんだから、この程度の犯罪いいだろ!なんて理屈、現実的に見たら当然許されないことです。
出所してから冤罪を主張して正々堂々と裁判を起こすのがスジでしょう。
…でもですよ?
不正はびこる独裁刑務所の終身刑の囚人、しかも所長の悪事を知っていて、さらに彼がいないと不正運用を続けられない。
所長がいる限り、外部への訴えは全て揉み消されて確実に出してもらえなかったでしょうね。
なんせ冤罪の証拠を握る人物を容赦なく射殺するような人間です。
トミーを殺した事実ですら上手く隠蔽されてるでしょう。
ブルックスも言っていました。
犯罪者がどうなろうと、世間は誰も気にしない。
仮に脱獄してから正攻法で冤罪と不正を告発したとしても、所長の手回しで脱獄囚の戯言と片付けられ連れ戻されるのは明白。
そして戻ったら文字通り人生終了です。
あの告発は、銀行に大金を預けている信用ある大事な顧客ランドール・スティーブンスからだからこそ、聞く耳を持ってもらえたのです。
アンディにはそれが分かっていたから、わざわざ本来脱獄には邪魔な荷物(所長のスーツと不正の証拠)を持っていきました。
そしてビシッとスーツを着こなし堂々と銀行で金を引き出し、証拠を郵送(たぶん警察かマスコミに)して告発、自分が遠くへ逃げている間に世間に悪事を晒して所長や看守を逮捕に追い込みました。
それは自分が奴隷のごとくこき使われた恨み以上に、囚人仲間の為、そしてトミーの復讐であったと思います。
アンディにとって、もはや自分の冤罪を晴らすなんてことはどうでもよかったのです。
20年も苦汁を飲まされ、自分から色んなものを奪った憎っくき相手の全てを奪って、夢に見たささやかだけど自由な人生を生きてやる!!
それだけだったのだと思います。
どんな理由があっても犯罪はダメ。
そんな倫理観は大事です。持ってないといけません。
だから許せないという人がいるのも分かります。
確かにリアルな世界観なのにフィクションだから許されるという意味では、最大のご都合主義展開ですよね。
それを言っちゃおしまいよぉ( ̄▽ ̄;)
ご都合主義、私は嫌いじゃないです。
だからこそ表現できるものがたくさんありますからね。
フィクションの世界でまでガチガチに現実と同じじゃなくてもいいじゃないですか。
人は現実には見れない夢を見たいのです(´ー`)
だから映画というものがあるのです。
悪人から金を奪って、逃亡&夢を叶える資金にして静かに充実した余生をおくる。
まるでルパンのような大泥棒ですね!(゚∀゚)
きっと大半の人はルパンを見て、犯罪者許すまじ!ではなく悪人出し抜いてスッキリ爽快!と感じますよね。
あれは大泥棒としての前提があるから少し違うかもしれませんが、そういうことだと思います。
あ、個人的に所長は自害ではなく、別の劣悪な刑務所で痛い目みてほしかったですね(ボソッ
この作品で原作者や監督が伝えたいのは、倫理観とかそういう部分ではなく『どんな時でも希望を持ち続けろ』『自分の持つ全てを使って必死に生きろ』ということだと思うのです。
アンディは元銀行員という自分の強みと頭脳を最大限に使って上手く立ち回り、辛抱強く最悪の環境を変えていきました。
絶望の中に希望が見えたと思ったらまた絶望。
ブルックスの死で見た、世間に戻ることの厳しさ。
トミーの死で見た、冤罪を晴らすどころか希望を持った若者を死なせてしまったという虚無感。
20年という抜け落ちた月日、老い(といってもレッドに比べたらまだまだ若いですが)という現実。
何度絶望を味わっても希望を捨てなかったからこそ、時には自分の身を危険に晒し、賭けに出るようなことをしてでも、夢見た人生を決して諦めなかった。
「頑張って生きるか、頑張って死ぬか。」
それを選ぶのは自由。
脱獄決行の前日アンディが縄を持ち帰ったことを知ったレッドは、頑張って死ぬ方を選択したんじゃないかと夜通し心配していました。
しかしアンディは頑張って生きる方を選んでいました。
どんな絶望の中でもこう言える強さ。
「音楽は心の中にあって、誰にも奪えない。希望もそうだ。希望はいいものだ。心は誰にも奪えない。」
地道な手紙攻撃で図書館を充実させたり、罰を覚悟で刑務所内に音楽を響かせたのは、皆に音楽や知識という誰にも奪われない贈り物をしたかったからじゃないかと思います。
それが長い時間を共に過ごした仲間達への感謝であり、希望を見出す生きがいでもあった。
理不尽な圧力に縛られ人間の尊厳を奪われた中でも心の尊厳は守り続けた、優しく賢く不屈の男の物語。
それを伝えるどん底の舞台が刑務所だったというだけで、犯罪がどうこうというのがテーマではないのです。
そこにリアルな正しさを追求する見方は、私はしませんでした。
もし最後にアンディが大金で豪遊してたら、私も批判してたかもしれないですけどね(笑)
と、これだけ絶賛してますが…
個人的にあまりアンディに共感はできなかったです(*'-'*)
劣悪な環境にも負けない根性。
危険を冒してもチャンスをモノにする度胸。
先を読み相手を出し抜く賢さ。
常に周りを観察して上手く立ち回る冷静さ。
時には不正に加担しそれをも利用する狡猾さ。
20年小さなピッケルで地道に穴を掘る忍耐強さ。
2カ月も光のない懲罰房に入れられても折れない精神力。
命がけで汚物の中を脱獄する行動力。
最後のなりすましの大胆さ。
実際あの状況でここまで出来るのはパーフェクトヒューマンかサイコパスですよ(ll゚Д゚ノ)ノ
リアルな世界感だけに、完璧すぎて「アンディすごい!感動!」とは思ってもなかなか感情移入はできません(笑)
私が深く感情移入したのは、アンディの親友レッドでした。
私の生い立ちと重なる部分があったからです。(犯罪を犯したわけじゃないですよ)
最後の仮出所面談の言葉からの、怒涛の展開に涙してしまいました。
「昔の自分に会ったら言ってやりたいよ。バカなことするなって。」
私も昔の自分に言ってやりたいです。
もっとやれることがあっただろって。
レッドは終始優しく穏やかに主人公を見守るけれど、その目は全てを諦めている。
私も死んだ目をして諦めていた。
まだもがいていて彼の域には達していない。
レッドはショーシャンク刑務所での生活をこう言っていました。
最初は刑務所と外を隔てる高い壁が邪魔に見える。
そのうちだんだん慣れてくる。
そしてついにはこの壁に安心するようになる。
劣悪で厳しい監獄生活も慣れてしまえば、逆らわず淡々とすごしていればいいだけの衣食住が安定した生活。
調達屋という仕事は外では通用しないし、ここなら仲間とそれなりに楽しく過ごせる。
私も家庭という監獄の中で、暴君看守の父親の元色々縛られて生きてきた。
ルールに厳しく、理不尽な押し付けを聞かなければ「誰の金で生活してるんだ」
言われたことができないと「だからお前はダメなんだ」
言葉の意図を正しく察さないと罵声がとんでくる。
最初なんかもう小さすぎて覚えてないけど、いつからか自分は普通じゃないと気付き、見えない壁が邪魔だと自覚してきた。
それでもやっぱり慣れてくる。
心が死んで、何も感じなくなってくる。
安心は家を出てから初めて、少しあったと感じた。
半世紀を刑務所で過ごした穏やかな老紳士ブルックスは、高齢の為身請けする家族もいません。
狭い部屋をあてがわれスーパーで働き始めるも、馴染めない孤独に耐えきれず死を選びました。
40年刑務所で過ごしたレッドもブルックス同様に外の世界を恐れ、ここで一生を終えたいとさえ思っていました。
自由とは時に冷たく厳しいもの。
長い間命令や規則に従って生きるのに慣れてしまった身体と心には、時に自由というものがとてつもない重圧になるのです。
何度も却下された仮出所をついに勝ち取ったレッド。
しかし待っていたのはブルックス同様世間に馴染めない孤独な生活でした。
レッドは、どうやって監獄に戻るか、あるいは命を絶とうかと日々考えます。
もう共感しかなかったです。涙が出ました。
私がどん底を過ごした時間はアンディよりちょっと長いくらい。
そこから急に社会に出ると、自由が重圧になる。
自分で考えて動くことの難しさ。不安。
周りと馴染めない孤独感。
大人である自分を助けてくれる手はあまりに少ない。
戻りたいとは思わないけど、従うだけの生活は確かに楽な部分もあった。
身体に染み付いた間違った価値観や世間とのズレは、大人になった今なかなか修正できない。
今も手探りで苦しんでいる真っ只中です(´-ω-`)
そんな身の上話はこれくらいにして…
諦めかけたレッドを思い留まらせたのはアンディという希望の存在でした。
アンディが脱獄してから、親友を失ったレッドの心にはぽっかりと穴が空いていました。
彼は引き止めてはおけない強く綺麗な羽を持つ鳥なんだと、自分を無理やり納得させていました。
絶望の中でも決して諦めないアンディの存在が自分を変えてくれた。
それでもなお希望を持てないレッド。
そんなレッドにアンディは夢を語り、1つの約束をします。
「いつか君が外に出られたら、ある場所に埋めてあるものを君にあげたい。」と。
その約束にわずかな希望を抱いてレッドは約束の場所へ向かいます。
そこにあったのはアンディからの手紙と現金。
アンディは脱獄してからも親友を案じて希望を残してくれていた。
「もう少し頑張ってみないか?
君に僕のところへ来てほしい。
場所は前に教えたろ。親友。」
長い監獄生活で穏やかに心を殺したレッドは、20年という月日で親友アンディという強い光に感化され助けられ、ついに生きていく希望を持てました。
私はそんなレッドに対して、希望と羨望が入り混じたものを感じました。
私が欲しかったのは、レッドにとってのアンディのような存在。
レッドにはなれてもアンディにはなれないです(ノロ≦*)
手紙を読んだレッドは穏やかに微笑み、決意する。
親友が与えてくれた希望を胸に、国境を越えて彼の元へ向かう。
何かを振り切ったようなその語り口は開放感に満ちていました。
そして夢の地ジワタネホ(メキシコ)の美しい海をバックに、夢を叶えたアンディと、光に導かれたレッドは笑顔で再会します。
親友と共に、第2の人生の始まりだーー
重苦しい雰囲気の刑務所からの、最後の鮮やかな海は観ている方も開放感でいっぱいになりました。
これからは2人共幸せに暮らせますように。
そう心から願えました。
また観たいです。
ここまで読んでくださりありがとうございました(*´ω`*)ゞ
もし少しでも楽しんで頂けたなら、☆やコメント置いていってくださると嬉しいです!
※内容は予告なく変更されたりします。
↓参加してみました(* 'ω')ノ